CH 03 / PLAY 06 実務化編 2026.05.14 公開

朝の受信箱を、
AIに3つへ仕分けしてもらう。

メールを「すぐ返す・あとで・見なくていい」に分け、毎朝消えていた10分を減らす110行の設定をつくります。
あの「あとで返そう」の山、ありますよね。その仕分けを、Gmail MCP に勝手にやってもらいました。
110行・¥640/月で組んだ、やってみた記録です。

この記事で得られるもの
  • 受信箱で 「あの返信、急いだ方がいいやつだっけ」 を毎朝考えなくて済む構造
  • Gmail MCP を Claude Code に繋ぐ12行の設定
  • 「すぐ返す・今週中・あとで・見なくていい」の4分類ルールを言葉にする方法
  • 外部接続で、AIへの指示が使う分量(トークン)を浪費した失敗 2件
実コード行数 110 = 3ファイル ・ 既存ファイルへの追記中心
実運用コスト 640円/月 Play 04の¥320 + /mail-triage 分
失敗ログ 2 全受信処理・境界曖昧
前提

この記事は、Play 05 の MCP が手元で動いているところから始まります。/daily-schedule でカレンダーがちゃんと取れていればOK。ここに Gmail を1つ足すだけです。まだなら、先に Play 05 を済ませてきてください。

第1章朝、受信箱を開いて10分が消える

予定整理が /daily-schedule で3秒になった次の週、変なことに気づきました。せっかく浮いた時間が、今度は受信箱でまるごと消えている。あれ、結局朝が忙しいぞ、と。

犯人はメールでした。受信箱を開いて、新着40件を上からなめて、「これは今返す」「これは後でいい」「これは見なくていい」を1通ずつ仕分ける。1通15秒だとしても、40件で10分。/daily-schedule で稼いだ3秒が、こっちで10分ぶん溶けてたんです。本末転倒ですよね。

でも、よく見ると消えているのは 時間だけ じゃありませんでした。朝9時から「これ急ぐやつ?」を40回連発すると、10時に原稿を書こうとしても最初の一文が出てこない。受信箱を閉じた瞬間、その日に使える脳がひと段落ぶん減ってる感じ。これ、よく言う 判断疲れ ってやつでした。正直、最初は「メールくらいで大げさな」と思ってたんですが、効きます。

つまり敵はメールの「量」じゃない。毎朝40回ぶんの判断を、自分の頭に積ませていることです。だったら、仕分けの基準を先に文章で書いておいて、毎朝の40回を「ルールに当てるだけの作業」に落とせばいい。頭は本来の仕事に取っておけます。次の章で、まずそのルールを自分の手で書き出します。

第2章4つに分けるルールを、自分で書く

AIに仕分けを任せる前に、やることが1つあります。自分が普段どう仕分けているかを、言葉にすること。「なんとなく今返す」の“なんとなく”は、あなたの頭の中にしかありません。そのままだとAIには渡せないんです。

自分の受信箱を3日ぶんじっと眺めて、最後はこの4つに落ち着きました。

すぐ返す
今日のうちに返す。顧客からの直接の質問、期限がその日のもの、上長からの問い合わせ。
今週中
今週中に返す。商談調整、進行中案件の確認、見積もり依頼、複数行の質問。
あとで
来週以降でいい。情報共有、相手から急ぎでないと書かれているもの、長期検討の話。

この4つを、そのまま knowledge/triage-rules.md という1枚のファイルに書き起こします。30行。これがAIに渡す「あなたの判断基準」になります。では、その中身を見てください。

~/my-playbook/knowledge/triage-rules.md 30 行 ・ 抜粋
# メール仕分けルール

## NOW(今日中に返す)
- From が顧客個別メールアドレス(社名@ドメイン)
- 件名に「至急」「本日」「今日中」が含まれる
- 期限が今日中と本文に書かれている
- 直属上長からの個別宛て質問

## TODO(今週中に返す)
- 商談調整、進行中案件の確認、見積もり依頼
- 本文に質問形が2つ以上含まれる
- 直接 To で宛てられているが、期限が今日でない

## LATER(来週以降)
- 「お時間あるときに」「急ぎではないですが」を含む
- 長期検討の打診(3ヶ月以上先の話)

## SKIP(返さない)
- ニュースレター、配信専用アドレス、no-reply
- 社内CCで、宛先(To)に自分が入っていない
- 宣伝・営業アプローチ(first contact)

ここでのコツは、きれいに整えようとしないこと。分類に正解はないので、自分の基準を そのまま 書けばいいんです。むしろ整えにいくと漏れます。「自分が普段やってること」をそのまま文章にするだけ。あなたの受信箱を3日眺めて、まずこの30行を書いてみてください。

第3章Gmail MCP を、12行で繋ぐ

次は、AIに受信箱を読ませる配線です。Play 05 で組んだ mcp.json に、Gmail を1つ足すだけ。カレンダーを繋いだときとほぼ同じ手順なので、身構えなくて大丈夫です。

まず Google Cloud Console で、これだけやります。

~/.config/claude-code/mcp.json 追加 12 行 ・ 抜粋
{
  "mcpServers": {
    "gcal": { /* Play 05 で設定済み */ },
    "gmail": {
      "command": "mcp-server-gmail",
      "env": {
        "GMAIL_CLIENT_ID": "<Play 05 と同じ>",
        "GMAIL_CLIENT_SECRET": "<Play 05 と同じ>",
        "GMAIL_SCOPES": "gmail.readonly gmail.modify"
      }
    }
  }
}

なんで gmail.modify まで入れるのか。あとで仕分け結果にラベルを貼るので、それに要るんです。逆に、送信する権限(gmail.send)はわざと外しています。ここでAIにやらせるのは 「読む・ラベルを貼る」まで。返信を送るのは、まだ自分の手でやります。勝手に送られたら怖いですからね。この env を貼ったら、次はいよいよコマンド本体です。

第4章/mail-triage コマンドを書く

ここが心臓部です。といっても、やってることは「受信箱を取ってきて、さっきのルールに当てて、ラベルを貼る」を順番に書いた手順書。50行です。

~/my-playbook/.claude/commands/mail-triage.md 50 行 ・ 抜粋
# /mail-triage

朝の受信箱を NOW / TODO / LATER / SKIP の4つに仕分けします。

## 動き
1. Gmail MCP で 過去24時間の未読受信を取得
   (古いメールは対象外。これは 失敗01 で学んだ)
2. knowledge/triage-rules.md を読み、4分類の基準を把握
3. 各メールを基準に照らして判定
4. 結果に Gmail ラベルを付ける:
   - NOW → "now"
   - TODO → "todo-week"
   - LATER → "later"
   - SKIP → "skip"
5. 標準出力に NOW と TODO のメール一覧を要約表示

## 出力フォーマット
NOW (3件)
  ├ A社・佐藤さん「明日の打ち合わせ件」 → 期限: 今日中
  ├ B社「至急: 見積もり修正依頼」      → 期限: 今日中
  └ 直属上長「来週の予算確認」          → 期限: 今日中

TODO (7件)
  ├ C社「進行案件の中間確認」          → 今週中
  ├ ...

## 判定で迷ったとき
- 60% 以上の確信があれば、その分類に置く
- 50/50 の場合は TODO に倒す(NOW より厳しい)
- 個人情報(住所、銀行)が本文にある → 必ず NOW

ついでに、memory/style.md の末尾に 「自分らしい返信の書き出し3行」を18行ぶん足しました。NOWのメールに返すとき、文体がブレないための保険です。memory/ をちゃんと使い込む話は、次の Play 07「毎回の自己紹介をやめて、AIに自分の仕事を覚えさせる」 でやるので、ここでは足すだけにしておきます。

足し算すると、30(ルール)+ 50(コマンド)+ 12(MCP設定)+ 18(style.md追記)= 110行。これが「実コード行数」の正体です。コードというより、自分の仕事を文章で書いただけ。書き終わったら、ターミナルで /mail-triage と打ってみてください。

第5章¥640/月 の内訳

気になるのはお金ですよね。Play 04 で API直叩きに切り替えた ¥320/月 に、今回の /mail-triage ぶんが上乗せされます。内訳はこうです。

/daily-schedule/weekly-review(Play 04)= 約 ¥320
/mail-triage 平日5日 × 4週 = 20回 ・ 約 ¥280
・ Gmail API ・ ¥0(無料枠で収まる)
・ 試行錯誤・再実行 ・ 約 ¥40

合計 ¥640/月。1日にならすと約 ¥21 です。缶ジュース1本以下で、毎朝の10分と判断疲れが消える。自分は迷わず払いました。

第6章2回踏んだ、失敗

失敗 01

初回実行で、受信箱の全メール(半年分)を読みにいかせた。

最初のコマンドに、対象期間の指定を書き忘れていたんです。/mail-triage を初めて打った瞬間、Claude が涼しい顔で 「8,200件のメールを処理開始」 と返してきた。血の気が引いて Ctrl+C で止めましたが、その時点で API 代が ¥420 飛んでいました。たった1コマンドで月予算オーバー。やらかした、と思いました。

コマンドに 「過去24時間の未読受信のみ」の1行を足して、もう一回。今度は 8秒、API 代 ¥8 でスッと動きました。教訓は1つ。外部MCPは、処理する範囲を最初に絞る。トークンが減り始めてからでは遅いんです。あなたのコマンドにも、対象期間の1行を必ず入れてください。

失敗 02

TODO と SKIP の線引きが甘くて、上長のCC依頼が SKIP に落ちた。

運用1週間目の金曜、直属上長から「先週のCC、確認した?」と聞かれて、ヒヤッとしました。受信箱のラベルを見たら "skip"。CCで届いた「来週の予算配分について」が、まるごとスキップ扱いになっていたんです。読んでいない、とは言えませんでした。

犯人は triage-rules.md「社内CCで、宛先(To)に自分が入っていない」→ SKIP というルール。大半のCCにはこれで合うんですが、上長からの「確認しといて」CC だけは例外でした。そこで「From が直属上長なら TODO」を1行足したら、同じ取りこぼしは二度と起きていません。

分かったのは、メールの仕分けルールは 例外を1個ずつ書き足して育てるもの、ということ。最初から完璧なルールなんて書けません。週1回 /weekly-review で誤判定を見つけて、1行ずつ足す。あなたも最初の1週間は、ラベルを軽く見直す時間を取ってください。

第7章動き出した、朝の受信箱

組み終わった次の月曜。/daily-schedule を打って、続けて /mail-triage。3〜5秒で、NOW と TODO のメール一覧だけが画面に並びました。

もう受信箱そのものを開く必要はありません。NOW の3件だけ集中してさばいて、TODO は午後にまとめて触る。LATER と SKIP は、そもそも 視界から消える。あの「あとで返そう」の山が、勝手に整理されている感じです。

測ってみたら、朝の受信箱の時間は 10分 → 平均3分。でも効いたのは7分の短縮より、判断疲れが消えたことでした。10時から書く原稿の出だしが、明らかに軽い。あの「最初の一文が出てこない」が無くなったんです。

いまは受信箱を 1日2回、朝と夕方の /mail-triage でしか開かないようにしています。これは仕組みじゃなくて、自分への約束ごと。ここまで来たら、次は散らばった「自分の文脈」を1か所にまとめる番です。

創刊号 10本の旅

いま、5合目に到達。

— 次の Play
CH 04 / PLAY 07

CLAUDE.md と memory/ で、AI に自分を覚えさせる。

Play 02〜06 で散在してきた「自分の文脈」を、CLAUDE.md と memory/ にまとめて永続化する土台 Play。style.md / priorities.md / projects.md の使い分けと、毎週書き換える層と半年触らない層の境界線を設計する。

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